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島ごと美術館
瀬戸内海の自然と風景に溶け込んだアートプロジェクト
ベルベデールせとだ 川上喜三郎 CATS DANCE 滑川公一
「瀬戸田を歩いていると、いたるところに現代アートを見つけることでしょう。これらの作品は、推薦されたアーティストが島のなかに自ら場所を選び、風景から受けたインスピレーションを形にし、設置されたものです。1989年から開催された世界一小さなアートプロジェクト「瀬戸田ビエンナーレ」によって設置された17作品。島の風景に溶け込んでいて、遊び心と芸術性を兼ね備えた作品ばかり」
空へ 眞板雅文 波の翼 新宮晋
平成元年(1989)、広島県は「'89海と島の博覧会・ひろしま」を開催し、県内の各市町村が個性的な催しを工夫して参加しました。旧瀬戸田町はすでに推進していた「ベル・カントホール」の音楽文化の発信、大型人口海浜リゾート基地「サンセットビーチ」の建設に続くイベントを持って参加しました。それが「島ごと美術館」瀬戸田ビエンナーレでした。海と島の博覧会せとだ会場の企画の一つとして、現代アートに関する事業が構想されました。ビエンナーレの意味は、二年ごとに開催される美術展ということです。
この事業の構想は、中原佑介(美術評論家:故人)、酒井忠康(神奈川県立近代美術館副館長:当時)、米倉守(美術評論家:故人)らによってつくられました。現代彫刻で活躍している作家を選び、生口島・高根島の野外に彫刻を設置するプランでした。瀬戸田町の環境を活かした新しい機軸が模索された結果、制作を依頼した作家に設置場所などの選定を任せるという基本構想がつくられました。
この作家が自ら作品の設置場所を選び、その独自の空間環境と風景を考慮しながら、作品のイメージを決めていくという野外彫刻のあり方に独自な発想を提供した文化性は高く評価されました。
回を重ねるにつれて設置場所は島全体に広がりました。平成4年(1992)に国土交通省から地域の個性的なまちづくりの事業を評価する「手づくり郷土賞」、平成19年(2008)には「手づくり郷土賞(大賞部門)」に選定されました。
現在17点の作品が島に点在し、地元、あるいは訪れる人々の目を楽しませています。
実際に作品にふれたり、いろいろな角度から見ると面白さもよくわかり、想像力をかきたててくれることでしょう。
歩いて回るもよし、自転車で回るもよし、島内のいたるところにさりげなくたたずんでいる作品をめぐってみては。わかりにくいときは、ぜひ島の人たちに話しかけてください。
瀬戸田はまるごと「アートのしま」なのです。
地図
ご案内
所在地 瀬戸田町内(生口島・高根島)各所
料金 無料
見学 自由。ただし「飛石」は瀬戸田小学校中庭にあるため、事務所に連絡要